旭川市の中心から程近い場所にある外国樹種見本林。ストローブマツやヨーロッパアカマツ、サトウカエデといった樹木が生い茂る広大な林に接するように、田之岡邸は建っています。玄関の扉を開けて真っ先に目に入るのが、家の中央に設けられたガラス張りのコンサバトリー(温室)。 吹き抜けになった開放感溢れる空間には、庭からの光が射し込み、鉢植えのグリーンに降り注いでいます。その周りをまるで回廊のように廊下が取り囲み、どの位置からも温室を眺めることができる仕掛けです。誰もが、あっと驚くような、楽しく意外性に満ちた造り。 田之岡邸のシンボルであるこの温室が、家づくりのテーマであったことは言うまでもありません。 「植物のある暮らしがコンセプト。温室は欲しい、と決めていました」と話すのは奥様の久美さん。
「思い入れがたくさんあって、設計担当の方にも『注文の多い施主になると思います』と伝えたほど」と笑います。そうした奥様のこだわりや愛エリアがプランニングに生かされました。壁はシンプルな漆喰に、色づかいも抑えて深い茶やグリーン、白を基調に。シックなインテリアが映えるよう、間接照明にしたのも奥様のリクエストでした。「ノーと言われたことはありません。逆に次々といろいろなプランが提示されて驚いたほど」こうして完成したのが、自然とモダンが共生する、安らぎを感じさせる家でした。
日当たりの良い2階には、家族が集まれるリビングとダイニング、そして子供部屋を設けました。 1階から続く温室は、ここでは眺めの良いテラスに。 見本林の緑を見渡すことができます。 インテリアのポイントになっているのが、奥様が作るステンドグラス。バスルーム周りや扉にはめ込まれた、落ち着いたデザインのステンドグラスには、どことなく和の雰囲気が漂います。ダイニングテーブルに柔らかな明かりを落とすのも、奥様作のランプシェード。
昼間は太陽の光が、夜はステンドグラスの明かりが、床や壁に美しい陰影を描き出します。 「今度はここに、こんな作品を飾ろうとイメージが膨らんで。」この家に住んで、ステンドグラス作りの楽しさが広がった、と言います。 「冬にはリスが庭先を訪れます。林からはカッコウの声も聞こえます。自然に囲まれてクラス喜びを感じられる家です」窓から吹き込む爽やかな風が、林の息吹を連れてくる。 自然を愛する思いが詰まった田之岡邸は、一日中優しい光に満ち溢れています。