古くならずに深くなる〜郷愁を漂わせる洋館へ想いと 愛着のあるオウチStoryをお伺いしました。

 

JR白石駅から車で5分ほど。閑静なの住宅街に、小さなおそば屋さんがあります。根本憲司さん、正子さんご夫婦が営む『そば切り みやもと』は、自宅の一部を店舗として利用。 そのモダンな外観から、初めて訪れる人はそば屋と気づかず、通り過ぎてしまうこともあるといいます。玄関のドアを開けると、正面の厨房ではご主人の憲司さんがそば打ちの真っ最中。 奥様の正子さんがやさしい笑顔で迎えてくれました。靴を脱いであがるため、まるで根本さんのお家に遊びに来たような、楽しい気持ちになります。

遠目には飲食店と気づく人は少ない。向かって右側が飲食スペース、中央にエントランスがあり、左側は根元さん夫妻のプライベートスペースになっている。

根本さん夫婦が『そば切り みやもと』を開いたのは、2000年の4月のこと。HOPに建築を依頼された理由は、「HOPのモデルハウスが理想の家そのもので、とても気に入ったため」(憲司さん)。また、道産の木材にこだわるHOPの姿勢にも共感を覚えた、と正子さんは振り返ります。来た人にホッとなごんで欲しい、という思いから、客席スペースでは2階までの吹き抜けにし、10坪ほどながら開放感のあるつくりにしました。上部には小窓を設け、自然光をふんだんに取り入れています。太い梁は芦別産のタモ材、壁には吸湿性の良い珪藻土を使用。 自然素材の持つ柔らかな風合いが、訪れる人に安らぎを与えます。どっしりとした古木のテーブルや、あぐらをかけるほどゆったりとした椅子など、細部にまでこだわったのも、「自分たちがこうしてもらえたらうれしいな、と思うことを実現しただけ」と正子さん。 女性一人でも気軽に立ち寄れるそば屋、というのもテーマのひとつだったそうです。

もともとそば好きだったというお二人だけに、そばへのこだわりも並々ならぬものがあります。 使うのは選び抜かれた斜里産のそば粉。仕入れ業者さんに玄そば(殻付きの実)のまま保存してもらい、石臼で必要な分だけ挽いてもらっているそうです。また、醤油は道産丸大豆100%、削り節は自分で厚めに削ったもの、かえしも瓶に入れて室(むろ)で3ヶ月熟成させてから使うなど、手間を惜しまない誠実な姿勢に、口コミで訪れるお客様が多い、というのもうなずけます。

黙々とそばを打つ、ご主人の憲司さん。「自分が食べておいしいと思うものしか出しません。そば粉はもちろん、使う素材、一つ一つに吟味を重ねています」

上部に設けられた窓からは、空の表情が美しく見える。「雲の動きや夜空の星など、思わず見とれるほど」と正子さん。

「ぜひ、種もの(具入りの汁そば)を食べてもらいたい」と、具に使う材料も厳選しています。人気が高いのは天然エビの天ぷらが2本つく「海老天そば」や、ステーキ用のカモ肉を使った「鴨南そば」。さらに、11月からは厚岸産のカキを使ったおそばも登場します。「自分が食べて、心からおいしいと思うものだけを出したい」という根本さんご夫婦。 その信念が生み出した『そばきり みやもと』の味。道産そばの香りとまろやかなかえしとの絶妙な味わいは、食べる人に至福の喜びを与えてくれます。

根元憲司さん、正子さん夫妻。憲司さんがそばを打ち、正子さんが接客などを担当している。

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